58.急性妊娠性脂肪肝

産み月に入った頃、それまで順調だった体調が突然、おかしくなりました。

食べた物を毎回すべて吐き出し、夜中にはキンキンに冷やした氷水をがぶ飲み。
そして、酷い倦怠感。お腹の赤ちゃんに悪影響が心配で、検診の際に担当医に相談したのですが
『産み月に入って、お腹の赤ちゃんが胃を圧迫したせいでしょう。産めば治ります。』との返事でした。
こんな状態がずっと続き、予定日より3日早くいきなり5分おきに陣痛が始まりました。
母は『そんないきなり5分おきに陣痛なんてくるわけがない。』と言いましたが、とりあえずタクシーに
乗って病院に連れて行ってもらいました。
私の記憶はここまでです。ここからは、主人や実家から聞いた話になりますので明確さに欠ける
かもれません。
病院に到着してそのまま入院。お腹に付けられていた装置(?)で赤ちゃんの心音がかなり
弱くなっていることが分かり、緊急帝王切開手術になりました。羊水もかなり濁っていたそうです。

手術は無事成功し、ここまでは特に何もなかったのですが、問題はこのあとです。
帝王切開手術が終わった次の日、前に担当して下さっていた産科の先生が病室に来られて
『血が止まりにくい状態になっているので、治療が必要です。入院が長引くかもしれません。』と
おっしゃいました。
その次の日には『HELLP症候群の疑いがあります。ICUに入って頂くことになるかもしれません』
さらに次の日『肝臓の数値がかなり悪い。しんどくないですか?』
そしてその日の夜、私は意識を失ったそうです。
主人や実家には、午前1時頃病院から連絡があったそうで、駆け付けると私はもう、ICUに搬送
されていました。
体の穴という穴からの大量出血。心肺停止状態に陥るわで、重篤だったそうです。
各診療科の先生方が集まり話し合って下さって、いろいろ検査を受けました。
胃カメラは血の海で何も見えず、止血剤をまいて3回目の胃カメラで、ようやく十二指腸潰瘍からの
出血ではないかと特定され、止血されたそうです。
それからICUでは、絶対安静状態。肝不全から多機能不全に陥り、しばらく眠らされていました。
ICU
には約20日間程いて、産科から内科に転科しました。
それからは、毎日の高熱と大量の腹水等、いろいろ辛い闘病生活でしたが、なんとか2ヶ月半程で
退院することできました。
私は死んでいてもおかしくなかった状態だったのに、献身的に治療をして下さった先生方には
本当に感謝でいっぱいです。(ちなみに、産科の現担当医は一度も姿を見せませんでした)
子供は何の障害もなく、元気いっぱい育っています。それが何より!
子供があんな目に遭わなくて、私で良かったなと思います。
しっかし、『妊娠性脂肪肝』って怖ろしい病ですねぇ!!