45.児頭下降不全

予定日は220日だったのですが、2週間遅れで帝王切開での出産となりました。

まず、26日の朝におしるしがあって、いよいよだ!と思ったのだけどなかなか陣痛は来ず、28日の検診でも子宮口は1センチしか開いていませんでした。


しかし、31日の夜中から前駆陣痛らしきものが始まり、2日には7分おきで痛みはくるものの本格的な陣痛にはならず、結局3日に先生のすすめで入院することになりました。
その日も前駆陣痛で一睡も出来ずに終わり、4日の朝から陣痛を促進する薬を1時間おきに飲むことになりました。

薬が効いたのか良い陣痛がつきだし、午後3時頃に破水しました。
子宮口も56センチ開いており、看護師の方に「破水したらお産は進むから もう少しだよ~」と励まされ、わたしももうすぐ赤ちゃんに会える嬉しさで、陣痛をより一層頑張って乗り越えようと意気込んでいました。


でもそこから夜になっても進む気配はなく、夜中になると陣痛は遠のいてしまいました。
耐えられないほどの不安感にかられ、夜中に看護師さんに泣いて話を聞いてもらいました。
結局その日も眠れないまま朝を迎えました。


5
日の早朝、隣の陣痛室に妊婦さんが入院してきました。

その方は、どうやら陣痛がきている感じで私は「あ~、この人はこれからかぁ・・・」とカーテン越しに様子をうかがっていました。
そしたら、なにやら看護師さんたちが慌てだしました。

なんと、その人は入院してきた時点で子宮口が全開だったのです。

そして、あれよあれよと言う間に赤ちゃんが誕生しました。
私は、(さっき入院してきたばっかりやのに なんでこんなに早いの・・・。なんでこんなに違うの・・・。)と思ってしまいました。

その後、朝の診察の前に、婦長さんが私に「なかなか進まないね・・・。どうする?点滴打って頑張る?それか帝王切開という手もあるよ」と言いました。

その時、私は「自然分娩で産みたいです」と答えたのですが早朝の出来事と、婦長さんの口から出た”帝王切開”と言う言葉に、プツっと糸が切れてしまいました。


そして、診察のとき先生に「4日間寝ていなくて、精神的にも肉体的にも力が残っていないので帝王切開をお願いします」と言いました。

先生も「破水したのにお産が進まないのは何らかの原因で母体がストップをかけているからかもしれない。

赤ちゃんは元気やから点滴を打ってもいいけれど、うまく進まんかもしれんし進むかもしれん。

もし進まんかったら頑張りが無駄になってしまう。

どっちにしても今日1日がリミットです」と言いました。

 

母親や姉は反対しましたが、母は婦長さんの「お産は何が起こるかわからないので、私の娘やったら手術を勧める。」という言葉に納得してくれました。
手術までの時間は「もうすぐだ。もうすぐで産まれるんだ」という気持ちでいっぱいでした。
しかし、今振り返るとあのときの精神状態は普通ではなかったように思います。

 

切羽詰っていて、視野が狭くなっていたのか、手術した部屋が、分娩室であることすら見えていませんでした。

手術中は緊張と恐怖で、震えが止まらなかったのですが看護師さんがずっと手を握ってくれていたのがとても心強かったです。
そして、午後3時に無事3500gで娘が誕生しました。とにかく、予定日を大幅に遅れたあげく、なかなか進まないお産のなか「早く産みたい!早く会いたい!」の気持ちが大きかったので、産まれてきたときの安堵感、嬉しさ、感動は計り知れないものがありました。

しかし、出産を終えて気持ちが落ち着きだすと、帝王切開を選択した自分を責めるようになっていました。
ほとんどの看護師さんは「お産は何があるかわからないんだから、切開してよかったんだよ!」と言ってくれたのですが 中には「あなたは陣痛に耐えれなかったんだから、おっぱいが張る痛みくらい我慢しないとね」と言う人もいて、ますます落ち込んだりしていました。

 

退院してからも、友達や姉の出産話を聞くのがつらかったり、自然分娩できている人をうらやましく思ったり、結局7センチまで開いていたのだからもう少し頑張れば自然分娩で産めていたのではないか・・・、とあの時帝王切開を選択した自分を恨んだり、しても仕方ない後悔で落ち込むことが多かったです。
でもこのHPに出会って、ようやく気持ちを落ち着かすことができました。

とは言っても、次の出産のことを考えたりすると自然分娩で産みたい!という気持ちがムクムクとでてきてしまうのですが・・・。

こんな私に主人がかけてくれた言葉です。
「男の僕に言われてもいやかもしれんけど、産み方より、産んでからのほうが大事やと思う。
あんまり悩んでると子供がかわいそうやで。自分のせいで・・・って思ってしまうで。

あの時ものすごく頑張ってたやん。じゅうぶん頑張ってたやん。」
なんてことない言葉だけど、とっても救われました。